Overview
サーベイ概要

事業内容
中小企業向けにクラウドサービス(SaaS)、レンタルサーバーを提供。IT人材事業も展開
業種
ソフトウェア(業務支援)
導入規模
回答数:25名(部門導入人数)
導入効果サマリー
  • 特定部門の課題が可視化されミドルマネジメント採用の意思決定につながった。
  • 組織の合意形成が業績につながることを再確認できたとともに、継続的な組織診断の重要性の気づきを得た。

「IT技術で中小企業を強くします」というミッションのもと、中小企業の業務効率化に貢献する複数のクラウドサービスを提供する株式会社ラクス様。メール配信システム「配配メール」や交通費・経費精算システム「楽楽精算」など多数のサービスを提供し、延べ50,000社以上への導入実績があります。今回、マーケティング・クラウド事業部の安藤様にお話を伺いました。

高スコアの背景にある組織づくり

――まず、御社の事業内容と今回STRABOを導入いただいた部門について教えてください。

安藤様(以下、敬称略)
メール配信システムの「配配メール」や経費精算システム「楽楽精算」など業務効率化を図るクラウドサービスを、主に中小企業のお客様に対して提供しています。社名である「ラクス」は企業の業務効率化を図り「お客様に楽になってほしい」という想いから名付けられました。お客様の業務が効率化されることによって、その先にある課題の解決や、売上拡大などにつなげて、お客様の成長や成功を支援するのが私たちのサービスの基本的な考え方です。
今回STRABOの診断を受けたマーケティング・クラウド事業部では、主に「配配メール」を取り扱っていて、企画と営業とサポートの3チームがあり、一番メンバーが多い営業チームには管理者であるマネージャーが2人と一般メンバーが16名います。

――早速、STRABOの診断結果についてですが、全体で理解、納得ともに4.0を上回っていて戦略理解がなされている状況だと出ています。他社様と比べても圧倒的な高スコアなのですが、組織運営上、意識的に取り組まれていることがあるのでしょうか。

安藤
そうですね。今年に入ってから意識的に取り組んできたことがあります。
我々が提供しているメール配信サービスはプロダクトライフサイクル的に成熟期にあるサービスで200社以上もベンダーが存在しています。その分、お客様にとっては選定が難しく、選定基準が価格になってしまうことが多くあります。

さらに、我々の「配配メール」は後発であり価格も格安の部類ではないため、どう営業していくかが課題でした。

そこで機能や性能の差ではなくサービスにフォーカスする方針に今年の4月から大きく変えていきました。例えば、営業のトークスクリプトも性能の他社比較ではなく、我々が提供できるサービスやサポートといったところに訴求を変えて刷新しています。

それに伴い「配配メール」のビジョンや戦略、コンサルティング視点の重要性をメンバーへ伝えるようにしました。期初にメンバーを集めて発表しただけでなく、その後も繰り返しコミュニケーションをとって共有してきた背景があります。

カスタマーサクセスへの転換とビジョンの共有

――サービスにフォーカスするというのは、顧客側の取り組みに注力するカスタマーサクセス的な意味合いでしょうか。

安藤
そうです。ツールの場合、導入がゴールになってしまうことが多くあると思います。それだとサービスの継続率も高くはないですし、同じことができる安いサービスにスイッチしてしまうのが普通の流れです。
そこで我々はサービスとしてお客様の成功までフォローしていくことに方針転換していきました。

メール配信ツールを使ってお客様が実施したいことは、概ね拡販と集客ですが、コンテンツを作ってメール配信して終わってしまうケースもよくあります。
ただ、成果を出すためには、マーケティングの考え方をもとに、リードクオリフィケーション(*1)を行ったり、PDCAを回したりすることが重要になってきますので、カスタマーサクセスの視点は非常に大事ですね。

そのように機能ではなくサービスに寄った営業活動やリレーション構築が選ばれる理由として大きくなってきているのを実感しています。

*1リードクオリフィケーション:見込み顧客(リード)から購買確率の高い見込み顧客を選別するプロセス。

――ビジョンの共有に関しては、ミドルマネジメントが中心だと思いますが、意識的に1on1でのコミュニケーションもとられているのでしょうか。

安藤
当然、私一人で全員に浸透させるのは難しいので、企画、営業、サポートの各マネジメント層と密なコミュニケーションをとるように心がけています。

私が考えていることを彼らが理解して、そこから組織のメンバーに伝えてもらっています。他には、私から社内SNSに投稿することも日々行っていることです。

――情報発信は精力的に行っているのですね。

安藤
やはり営業メンバーが日々自分で勉強していくのは難しい面もあるので、自然と情報をインプットできる環境を作っています。その結果、情報やノウハウを自分の中で咀嚼して営業活動にも活かしてくれています。
また、他社さんがあまり情報発信していないのもあって、Twitterでもオープンにメールマーケティングに関する情報やノウハウをツイートしていますね。

合意形成を牽引したミドルマネジメント

――メンバーの戦略に関する納得度や理解度を上げていくうえで、ミドルマネジメントの方の存在が重要だと思いますが、どのように一般メンバーを見られているのでしょうか。

安藤
ミドルマネジメントに関しては、基本的には営業であれば数値管理やメンバーの1次評価を行ってもらっていて、2次評価には必ず私が入っていますね。

私が見ているのは出てくる数値評価の部分で、現場レベルでのモチベーション管理などはミドルマネジメントが全て見ています。

やはり戦略の伝搬やメンバーの理解を深めるにはミドルマネジメントがかなりキーになっていて、実際、今回の結果を見てもミドルマネジメントの理解力の高さとメンバーへの浸透とが数字に反映されていました。

――確かに、みなさん疑問を感じられている点がほとんどなく素晴らしい結果ですね。率直にいかがですか。

安藤
当社では社員の合意形成がないと持続的な成長も実現できないという考え方が文化的にあるので部署でもしっかりと実行してきた結果だと思います。

――成熟市場では従業員の戦略理解より、howの部分で手段手法の落とし込みに終始するケースが多い中、そういった取り組みが、営業力の差になっているのでしょうか。

安藤
スタートアップだと強烈なリーダーや社長がいて、その人のビジョンやマネジメントに共感したチームができることがあると思います。

一方、プロダクトライフサイクルにおける成熟市場となると、利益率を上げるためにフレームワークに落とし込んで最適化を図ると思うのですが、成熟市場だからこそ、まだチャンスの部分があると思っています。

例えば、お客様がWeb上で検討を進めて選定もある程度終わっている中だと、最終的な対面営業でのコミュニケーションで受注率が高まるのは当然ですよね。その中で、おっしゃる通り、営業が戦略理解をしていくというのは非常に重要なポイントになってくると思います。

――充足度を上げるという意味合いで勉強会や研修会などはやられていますか。

安藤
上期でいうと営業向けにマーケティングの勉強会を月2回行っていました。マーケティングワードの解説やGoogleアナリティクスの見方といった内容ですね。

診断結果をもとに決定したミドルマネジメントの採用

――診断の結果を見ていただいて、改めて何か新しい気づきはありましたか?

安藤
こういった診断ツールを初めて導入しましたが、日頃の成果として合意形成が高スコアで可視化されて証明されたのが良かったです。また他にも大きな気づきもありました。

設問の中で「他のチームがどんな現場施策をやっているのかを理解しているか」という質問があったと思うのですが、サポートチームの数値が1番悪く、どういった施策をサポートが実行しているかを周りのチームが理解していないことがわかったんです。考えてみると、ミドルマネジメントが集まって振り返りの報告をしてもらうミーティングがあるのですが、サポートは自分が管理者なので報告者がいなかったんです。それが理由ですね。この数値を見て「そういうことか」と初めて気づきました。

もともと私がサポートを8年ぐらいマネジメントしていたので自分がやった方が管理も施策もスピーディーにできると思っていたんです。
そのため、これはすぐに変えないといけないなと気づき、サポートの活動内容も発信するようにしました。また、組織としてもサポートの管理者の必要性をしっかりと考えるようになって、つい最近、サポートのミドルマネジメントの採用も決まって来期に入社予定です。

――営業の一課では、社歴1年以上の方たちの管理・体制周りの納得度が相対的にみると他チームより少し低めに出ているところがありましたが、この点はどう思われますか?

安藤
営業一課に関しては10数名を1人がマネジメントして見ている形になっているのでどうしても一人当たりにかける時間が薄くなってしまいますよね。そこが如実に出てしまったのかと思います。

――なるほど、これから分割するとなるとマネージャーの方の理解が必要になりますよね。

安藤
戦力的に考えたら分けた方が良いのですが、マネジメントの気持ちを考えたら自分の仕事を取り上げられたと感じてしまうところもあると思います。ですが、しっかり戦略を伝えた上であれば納得をしてもらえると思っています。体制でいうとマネージャーの下にサブマネージャーが入るような組織構造か単純にフラットに分ける必要がありますね。

――ちなみに、合意形成という観点で、飲み会などの交流は重要視されていますか。

安藤
ミドルマネジメントの方とは定期的に行くようにしています。あと、個別で行くのは重要視していますね。大勢だと話が四方八方に分かれていくので、私を入れて4人くらいまでの飲み会は行くようにしています。

私の場合だと参加メンバーが偏ってしまうと、誰かを優遇しているようにも思われてしまうので、自分からはあまり誘わないです。飲みニケーションという時代でもないですしね。意外とランチの方がいいかもしれないです。お酒も入らないですし。

――今回、サービス提供の初期段階として、このような数値結果を提供させていただいたのですが、他にも見たい数値やデータなどはございましたか?

安藤
それでいうと、組織は変わっていくものなので1回の結果だけではなく、持続的に見ていかないと意味がないと思いました。組織管理の観点から、この1回目を基準として、2回目、3回目をどう変化させていくのか、どう変化していくのかを見ていかないといけないなと思っています。

実際、戦略の見直しや調整などを、1年毎に大きく変えていく中で、メンバーも入れ替わりますし、その中でどう浸透させていくのかを定期的にチェックしないと意味がないですよね。

――組織にも定期的な診断というのは必要になってきますよね。STORABOでは継続的な伴走支援サービスも提供しているので、是非、機会があれば、ご紹介させていただければと存じます。本日はありがとうございました。

インタビュアー PROFILE

株式会社エムエム総研

取締役 河村 芳行

テレマーケティングやインサイドセールスなどのリアルコミュニケーションからデジタル領域にわたり、マーケティング活動全般のプランニングを担当。 日本国内企業の更なる発展に向けて、マーケティングの普及を目指し、ITproマーケティングなどセミナーにて講師、パネラーとして講演。外資系、国内大手IT企業に対して多くのプランニング実績を持つ。
共著として『少人数チームからはじめる失敗しないBtoBマーケティングの組織としくみ』がある。

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